1986年12月から1991年2月までの間日本でバブルが発生して、例えばバブル経済前で1706000円であった東京都千代田区の住宅地価の平均価格は、1991年には9080000円となって5倍以上に高騰していましたし、1985年の大納会の高値が13117.94円であった株価は、1989年の大納会の高値で38957.44円まで急騰していき、約3倍の株価に上昇しました。
そこで日本でこのようなバブルが発生した理由について述べていきます。
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日本でバブル経済が起きた2つの理由
日本でバブル経済が起きた一つ目の理由は、日銀が行なった公定歩合の引き下げにありました。
当時円高不況に陥っていた日本経済を浮揚するために、年率5%あった公定歩合を1986年1月から1987年2月までの間0.5%ずつ5回に分けて引き下げを行い、最終的に年率2.5%までになって一年で公定歩合が半減しました。
その結果銀行は企業への融資が行ない易くなり、企業が所持している土地を担保にして資金の融資が行なわれていきました。
しかも土地の価格は下がらないという土地神話を背景に財テクブームが沸き起こり、企業や個人が土地や建物などの不動産に対して投機的な売買を行なうようになり、高騰し続ける土地を担保に融資を行なっていたために融資額も上がっていき、その結果更に高い土地や建物を取得するという動きが加速され、地価の急騰に拍車がかかりました。
その一方1986年1月で200円だった為替レートは、バブル経済となってからも円高ドル安が進み、1987年には140~150円くらいを推移して、1988年には120~130円くらいを推移するまでになりました。
その結果、海外から高級自動車やブランド品の輸入が多くなり、バブル経済によって裕福になった個人が安い輸入品を購入するようになり、メルセデス・ベンツやBMWなどの高級車が都内を走り回り、ブランド品で身を固めた男女が普通に都内で見かけられるようになりました。
そのような中不動産価格や株価の急騰に対して物価上昇率は鈍化していき、1985年に2.03%あった物価上昇率が翌年の1986年には0.60%に急落し、1987年には0.12%まで下がっていきました。
1989年に消費税3%が導入されるとその影響で物価上昇率は上がっていって1991年には3.25%まで上昇しましたが、消費税の導入がなければ物価上昇率は低いままであった可能性はあり、この物価上昇率が低下していたことが資産価格との乖離を大きくする理由にもなりました。
まとめ
1986年12月から1991年2月までの間日本でバブルが発生した理由は、公定歩合の引き下げとバブル時代も続いた円高ドル安の影響で上がらなかった物価上昇率でした。
ただ、バブルが発生する前は円高不況が起きていて、公定歩合の引き下げそのものがその円高不況を脱することが目的でしたので、円高不況が続いていかないでバブル時代に突入したということは、公定歩合の引き下げで物価上昇率は上がらなかったですが、円高不況を脱するという意味では効果があったといえます。